昔からの「かんの虫」
突然大きな声で泣いたり、わめいたり、自分の思い通りにならないと手足をバタバタさせる。こんな子供をかんが強い(かんの虫)と呼ぶことがあります。
昔の人は病気の多くが「むし」によって起きると考えていました。体の中にはいろんな虫がいて、「せんきの虫」は落語にも出てきます。おなかがすくと泣くのが「はらの虫」。「かんの虫」もきっと、こどもの病気を引き起こすと考えられてきたのですね。
この歴史の作り上げた病気を封じようという行事がいろいろと残っています。焼きミカンを授ける「三疳(みかん)封じ火焚(たき)祭」というのが京都にあるそうです。焼きミカンは疳の虫と夜泣き、引きつけの三疳だけでなく、ぜんそくも治り、食べた冬は風邪をひかないと伝わる行事だそうです。
突然ぐずったり、わめいたり、昔から同じように子育てに苦労してきたんですね。
ということは、少なくとも誰にでも起こる可能性があって、しかもいつかはおさまってしまう決して悪い病気ではないということでもあります。
一生懸命な子育てにがんばるお母さんの苦労を取り除こうと地域ぐるみで応援した時代があったわけです。
性格も関係あると考えられている「かんの虫」ですが、深く考えず心にゆとりをもって家族で見つめていくのが一番の治療かも知れません。
いつまでも続いた話聞いたことありませんから