RSウイルス感染症

咳がひどくなります

通常、秋から冬にかけて流行するのですが、

近年、季節に関係なく1年中感染がみられるようになりました。

呼吸によって空気が出入りする気管支は枝分かれしながら、細くなっていきます。

その最も細くなった部分を細気管支といいます。

RSウイルスは乳幼児の細気管支に炎症を起こしやすい厄介なウイルスです。

この細気管支に炎症を起こしやすいウイルスです。RSウイルスは厄介なウイルスです。小さな子どもは細気管支が十分に成長していないために炎症がここに広がりやすい為ひどくなるのです。

≪感染に関して≫

感染の仕方

1)飛沫感染:感染した人の咳やくしゃみで飛び散ったウイルスを直接吸い込むことによって感染し、鼻や咽頭の粘膜でそのウイルスが増殖します。

2)接触感染:皮膚や衣服、おもちゃなどに付いたRSウイルスに触れた手を介して目や鼻、口から感染し体に入っていきます。

潜伏期間(感染してから症状が出るまでの日数)は2~8日で、感染した人に症状が現れる前でもその人から他の人に感染させてしまうことがあります。

症状が消えてからも1~3週間はRSウイルスが体に残っていて人に感染させてしまう事があり、これが保育園などでの流行の予防が困難な理由の一つです。

≪どうなるの?≫

大人や年長児の場合:

普通の風邪症状(軽い咳や鼻水)と変わりません。


小さな乳幼児の場合(特に初めての感染):

最初は『鼻水』が出てくることが多いです。

熱は出ることがありますが出ないこともあります。

やがて咳も出てきます。

その咳がどんどんひどくなり、『痰がらみの咳』にかわり、まるで喘息のように、『ゼーゼー ゴロゴロ』と苦しそうな咳になってきます。

このイラストで症状覚えておいてくださいね!

1才以下の乳幼児、特に未熟児で生まれた子どもや心臓に病気を持っている子どもの場合、肺炎細気管支炎を起こし重症化することがあります。

肺炎細気管支炎になり、呼吸困難で酸素が充分にとれなくなると

チアノーゼ:皮膚の色、顔色が悪くなる

多呼吸:呼吸数が普段より増える

など見た目にも異常が認められるようになります。

≪どうすればいいの?≫
小さな子、特に赤ちゃんが普段にない『鼻水』や『咳』を始めたら、このRSウイルス感染症を疑って小児科の受診することをお薦めします。

必要な場合、RSウイルスの迅速検査をしてくれますよ。

もう一度復習です!

初めての感染の場合、3割から4割の乳幼児が細気管支炎や気管支炎、肺炎になります。(2度目からの感染では細気管支炎や肺炎などは減っていきます。)

重くなると呼吸困難になり、入院治療を必要とする事も多く、インフルエンザよりも厄介なウイルスです。時に『呼吸困難』になることもありますので、夜間でも、おかしいと思ったら受診できるように『夜間・休日診療所、病院』を把握しておいて下さいね!!

これが注意点!

6ヶ月未満の赤ちゃんで、流行時に鼻水がひどく受診された場合RSウイルスの可能性が大きいのです。

治療

RSウイルスに対する特効薬はなく、抗生物質も効きません。

多くの場合は対症療法と言って、症状を抑える治療を行います。

大切なことは、水分補給(痰を出しやすくする)で、脱水があり飲めない、呼吸困難が強いなどの場合には、入院治療が必要となることがあります。

予防と注意

RSウイルスに対してはお母さんの胎盤を介してもらった免疫では感染を防ぐことはできません。
乳児の場合悪化することを周囲の大人がしっかり知っておきましょう!

RSウイルスは、大人に感染しても軽い風邪症状で済みますが、赤ちゃんに感染すると重症化してしまいます。1歳未満の乳児の場合、インフルエンザよりも死亡数が多い地域もあります。

軽い風邪症状であっても、RSウイルス感染を考え、大人が乳児にうつしてしまわないように細心の注意を払って下さいね。

RSウイルスは、消毒薬に弱いので、保育園などの集団生活の場でのおもちゃや日用品の消毒管理が予防につながります。

子供たちが共有して使う玩具はまめに消毒しましょう!

参考:パリビズマブ(予防薬)商品名シナジス

重症化を防ぐ手段としてはこの「シナジス」と呼ばれる抗体製剤がありますが、100ミリグラムで約15万円。29~35週の早産で6カ月以下の新生児や乳児などは健康保険が適用されます。