自閉症の方の中には人や物の見え方に変化ある場合があります。
私たちは自分の能力や感覚が『当たり前』だと信じ込んでいます。しかしながら自閉症の方の中には異なった能力や感覚の方がいます。ここでは当事者の方が執筆された本から『顔の見え方』を例にみてみましょう。
●人の顔はわからない
会社のマークやロゴタイプはひと目で覚えるくせに、人の顔はわからず、せいぜい大人と子供の区別ぐらいで、私にとっては園長も先生も園児も大差なかった。 森口奈緒美さん 『変光星』より
●顔の部分が判らない
人の顔については、部分がわからないから全体がわからないのだと思います。人の顔を見るときは、どの部分から見たらいいのかわからずに少しだけそっと見ると、なんだか部分がバラバラな感じだけで、その人の顔が思い出せないのです。顔は表情が変わるから覚えられません。
東田直樹さん 『この地球に住んでいる僕の仲間たちへ』より
●人の顔が覚えられない
私は、帰り道でいじわるをする少年たちが誰なのか、知らなかった。私には顔が見分けられなかった。みんな空っぽの顔をした男の子で、互いにくっつき合い、まざり合うばかりだった。だから払は、いじわるをしてくるのは、毎回、別の子だと思っていた。いじめっ子の顔がわからないのは、自分が人の顔を覚えられないせいだなんて知らなかった。
グニラ・ガーランさん 『ずっと「普通」になりたかった』より
●人の区別がつかない
「ゴメンね、昔から人の顔って覚えられなくて。どうしても必要な時は写真にとって覚えるようにしてるんだけど、まさか近所の人を全員隠し撮りするわけにもいかないでしょ?」
やれやれ。今度は僕が大きなため息をつく番だった。「夫の顔も写真にとってやっと覚えたんだけど、実は今でもやっぱり、人ごみでは夫のこと見つけられないことがあるんだよね。見慣れない服を着てる時なんか、特に」
泉流星さん 『僕の妻はエイリアン』より
ご両親でも、子供さんが高学年になってから『顔がわからない』ことに気づくことがあります。
皆さんがこのことを知っておいていただくことが『手助け』の一歩になります。