自閉症1(社会性の特性)

「脳の機能の違い」によるものです

新しい診断基準(DSM-Ⅴ)では

1)相互的社会関係の障害・コミュニケーションの障害、

2)行動、興味、および活動の限定された反復的で常同的な様式(こだわり)+(知覚過敏・鈍麻)

が中核症状と定義されています。

今までの概念がわかりやすいので

1)社会性の問題 

2)コミュニケーションの問題 

3)想像力の苦手とこだわりでみていきましょう。

1)社会性の問題:人への関わりや関心が乏しいこと。

対人意識、他者との共感が少ないのです。

・小さい時から、家族や周囲への関心が乏しく、人に笑い顔を見せることもなく、抱っこされてもそれに応じる姿勢を見せません。

・母親に甘えることも少なく、母親と遊んでもらうよりは『ひとり遊び』を好みます。

・母親に抱っこされても、嫌がるように『反り返る』ことも多いです。

・小さな時に『迷子』になるのも特徴です。母親を頼ることもなく、迷子になっても泣くことなくマイペースです。

他人への関心が乏しいため、『視線が合わない』『場の空気が読めない』(人の気持ちを理解するのが苦手)ことが多いのです。

呼びかけられても『他人ごと』のように反応しないこともあります。

ところが実際には、いわゆる『自閉症』に見えないタイプがあり、成人になっても診断がついていないケースがあります。

その理由は、社会性という点で全く異なったタイプがあり、そのタイプによっては全く『自閉症』とは見えないものがあるからです。

社会へのかかわり方によって大きく3つのタイプに分けることが出来ます。

a)孤立型

周囲に人がいても、まるで人が居ないかのように行動するタイプで、人とすれ違っても無反応で、呼びかけても返事すらしません。

人に対して関心がなく、無表情で、人に同情することもありません。

周囲から見て『当人が何を考えているかわからない』といった状況です。

小さな時は、指差しがなく、クレーン現象が見られることがあります。

b)受動型

なんとなく『ニコニコ』しているタイプです。

周囲の人に自分から関わっていくことはしませんが、人からの関わりは嫌がりません。言われたことにはよく従います。
最も問題行動の少ないタイプですが、他人から言われると嫌なことまでも引き受けてしまうので、ストレスがかかり、時にパニックを起こしてしまうこともあります。

c)積極奇異型

周囲の人に積極的にかかわっていきますが、自己本位で一方的なことが多いです。

人の話は聞かず、自分の興味のある話を一方的にしゃべり続けたり、同じ話を何度も繰り返すことがあります。

積極的にかかわるため、一般の人だけでなく、医療従事者からでさえ『自閉症』であるとは全く認識されず、診断が遅れることがあります。しかしながら、社会性の問題やコミュニケーションの苦手さから、高校、大学、あるいは社会に出てから周囲との摩擦、トラブルで行き詰まり、病院を受診。そこで初めて診断がつくケースも多いのです。

高機能自閉症やアスペルガー症候群によくみられ、知的には高い場合が多いです。