漢方薬

なじみあるお薬ですね

漢方薬は、数千年の歴史の中で、患者さんの症状に合った生薬の組み合わせ(処方)で生み出されました。
それをもとに、日本の現状に合わせて発展させてきたのが現在処方されている漢方薬です。
現在、多くのお医者さんが日常の診療で漢方薬を使っており、大学病院や総合病院でも漢方外来が開かれてきています。

小さくきざんだ生薬を煎じてのむ、伝統的な煎剤もありますが、今、わが国の医療機関で出されている漢方薬のほとんどは、煎じ薬を乾燥させてアルミパックに入れ、持ちやすく、また飲みやすくしたエキス剤(医療用漢方製剤)です。

内服薬はのんだ後、消化管から吸収されて効果を表します。顆粒のままでは吸収されませんので、コップ一杯の水をのみ、溶かすことが大切です。

漢方薬の成分の多くは、腸内細菌の働きによって、吸収されやすくなり、効果のある形に変えられ、その力を表します。 そのため、空腹時にのむほうが、速やかに腸内細菌のいる場所に到達するわけです。 さらに、食べ物などの影響、食べ合わせを防ぐためにも、空腹時にのむほうがよいのです。

漢方薬は即効性がないと誤解されがちですが、そうではありません。

たとえば、何となく頭が重い、熱っぽい症状などがある風邪の初期に、葛根湯や麻黄湯をのめば、サッと汗が出て楽になります。鼻詰まりのひどい時に、葛根湯加川芎辛夷を服用するとスーっと鼻が通ってくるのがわかります。

同じ病気でも患者さんの状態によってのむ薬が違ったり(同病異治)、ひとつの薬がいろいろな病気に応用される(異病同治)こともあります。

そのため、一つの漢方薬でさまざまな症状を治し、複合的な効果を期待することができます。