症状が長いのが特徴
お母さん!
1年の中で、おそらくお母さんの手助けが一番必要なのが『ロタウイルス感染症』だと思います。
なぜならつらい症状が長く続くからです。
ですから、細かな対応について、一緒に確認していきましょうね!!
どんな病気?
- 乳幼児の冬の嘔吐下痢症(急性胃腸炎)で最も多い原因がロタウイルスによる感染症です。
- 秋から年末にかけてはノロウイルスが、冬1月から春にかけてはロタウイルスが主に流行します。
生後6ヶ月から2歳の乳幼児に多くみられ、5歳までにほとんどの小児がロタウイルスによる嘔吐下痢症を経験します。
どんな症状?
- 通常は突然の嘔吐、発熱(出ないこともあります)、腹痛から始まり24~48時間後に水様便を認めるパターンが多いです。
- 平均2日間ぐらいの潜伏期間(感染して症状が出るまで)をおいて発症します。
- ロタウイルスは小腸に感染し、その組織に変化を起こします。そして腸からの水の吸収が邪魔されて下痢を引き起こすのです。
- 一般に1~2週間で自然に治りますが、脱水がひどくなるとショック、電解質異常(体の塩分のバランスが崩れること)でけいれんを起こすこともあります。
- 呼吸器症状(咳、痰など)を起こすこともあります。
どんなうんち?
普段の便よりも白っぽい色です
多くは酸っぱい臭いがします
ひどい場合には米のとぎ汁のような白色の水様便で、そのため白痢あるいは仮性小児コレラとも言われていました。
参考:本来便の色は胆汁が元になっています。便が白くなるのは一過性の胆汁流出障害が原因とされています。
下痢の時のおしりの吹き方
特に赤ちゃんは何度も何度も下痢をすると、お尻がただれやすくなります。お尻を拭く時は決してこすらず、ぬるま湯で洗ってあげるか、ぬるま湯に浸したティッシュなどで軽くポンポンとたたくような感じで汚れを取ってあげて下さい。
嘔吐時に気をつけること
寝ている時に吐いた場合、気管に飲み違えないように、顔を横に向けてあげてください。
ワクチン
2種類のワクチンがあります。
- ロタウイルスには沢山の型があります。ロタウイルス胃腸炎の90%以上はその中の特定の5種類の型によって引き起こされています。ロタリックスは、全体の65%を占める「G1P[8]」という型から作られた飲むワクチンで、1.5㏄を、4週間以上の間隔を置いて2回服用します。
(生後6週間から開始)
- ロタテックは、ロタウイルス胃腸炎発症原因の約90%を占める5種類の異なる株を含んだ飲むワクチンです。一般にロタウイルス胃腸炎は、異なる株のロタウイルスに繰り返し感染するため、複数の株を含んだワクチンであることは有用です。(これも生後6週間から開始で3回服用)
脱水について
ロタウイルス胃腸炎では、嘔吐や下痢により、水分を体の外に失います。
ですから水分を補給して、脱水を防ぐことが大切になります。
脱水の目安
脱水がすすむと尿の回数が極端に減り、色の濃い尿になります。さらに唇が乾燥し、元気がなくなり、ぐったりしてきます。
客観的に、家で子どもさんの脱水の評価を出来る方法を知っておきましょう。
毛細血管再充満時間:CRT(capillary refill time)
通常は1~2秒以内に爪の色はピンクに戻ります。ピンク色に戻るのに3秒以上かかる場合は明らかな脱水と考えて、病院を受診して下さい。
水分補給のポイント
嘔気が強い時や嘔吐の直後は、一旦絶食、絶水にして、胃腸を休ませます。(1時間ぐらいが目安です)吐いた直後に飲ませると、再び吐いて、嘔気や嘔吐を反復させてしまうことがあります。
嘔気が少し落ち着いたらまずは胃に負担がかからないように、少量の水分を小分けにして飲ませてください。
嘔吐下痢では水分だけでなく塩分も失われ、また腸での水分の吸収、低血糖予防に糖分が必要ですので、塩分・糖分を含んだものを飲ませてあげて下さい。市販のものでは経口補水液(ORS等)が安心です。(ぬるい温度、15~20度が好ましいです)
薄めの味噌汁の上澄みやニンジンスープも昔から使われています。
市販の飲料水を購入する時は、ノンカロリー(糖分の入っていない)飲料水が増えていますのでよく確認して糖分の入ったものを選んでください!
嘔吐や下痢の回数が増えなければ、御粥や良く煮たうどんなどを胃の負担にならない十分な間隔を空けて、食べさせてあげて下さい。
経口補水液の作り方
水1リットル(湯冷まし)に砂糖大匙4杯半、塩小さじ半分を加えます。
塩分と糖分を含んだこの濃度なら弱った腸からでも吸収効率が良いのです。
ロタウイルスの消毒方法
アルコール消毒は効果はありません。
85度以上の熱消毒1分以上、または塩素系の消毒剤が有効です。
詳しくはノロウイルス感染症をご参考ください。
お母さん!いかがでしたか?
冬の感染症の中で、おそらくお母さんのケアを最も必要とする感染症かと思いますが、これを乗り越えれば、お子さんの免疫能力はさらに強くなります。